Talent No.2

COSTANTINO_PUNZO
Fitter

  • #ナポリ人と日本人
  • February 14th, 2019
Profile

Costantino Punzo(コスタンティーノ プンツォ):1967年生まれ。ピサ大学で数学を専攻した後、ロンドンハウスに勤務。名サルト/フェリーチェ・ヴィゾーネ氏に出会い、以後パートナー、フィッターになる。現在は自らの名を冠した「COSTANTINO」のフィッターとして世界中を飛び回り、年数回の受注会の際に来日。サッカー選手や多数の著名人のスミズーラ(フルオーダー)を手掛ける。

契約書を交わすよりも握手で

コスタが日本で仕事するようになって20年ぐらいですか。

國澤 :そうですね。2000年頃からだと思います。

ずいぶん長いですよね。それによくしゃべる!イタリア人はみんな話好きなんですか。

國澤:イタリア人みんなというわけではないですけど、コスタは好きですね。毎日私(國澤)に電話を掛けてきますし。内容は大した用事じゃないんですけどね。島田さんもそうですけどコスタの性格は「仕事は仕事」終われば楽しむ。まずは自分が楽しむ!いつもそんな感じですね。

そうですよね。ところで、コスタはなぜ、こんなにも日本が好きなんでしょうか。

國澤:全部じゃないですけれど日本が非常に合う。 多くの外国人は日本人の事をバカにして、見下しているという感じがあるんですけど、 コスタはそういう所がないんですよね。コスタは人をリスペクトする気持ちを持って、日本人も人をリスペクトする気持ちを持っている人が多い。

國澤:お父さんからの教えで「 年上の人を尊敬しなければいけない」、「女性に対して優しくなきゃいけない」など日本人も同じような気持ちを持っている人が多いから好感を持っている。人と人のつながりじゃないですけど、サインで契約書を交わすというよりも” 握手で ”というタイプですね。

※Antonio Mercurio:アントニオ メルクーリオ/シューズ担当フィッター兼オーナー

アントニオは何歳くらいから靴をつくってるんでしょうか。

國澤:9歳からですね。

すごいですね。小学生からか。いま、アントニオは何歳したっけ?

國澤:58歳です。

コスタとアントニオはいつから一緒にやってるんですか。

國澤:ロンドンハウスの頃はコスタとアントニオは一緒に仕事をやっていなくて、GATTOでアントニオと知り合ったそうなんです。コスタとGATTOは親交があって、そこでアントニオを紹介されたそうで。

國澤:アントニオはずっと工房にこもってやっている感じだったんですけど。コスタがアントニオを日本に連れてきたのも刺激になっていますしロシアにも連れて行ってるんで、それでアントニオは仕事以外の楽しみも知って、オーダーを取るよりもそっちの方が楽しみになっちゃってますね。 

ナポリについて

國澤:ナポリはスペイン・アジア系、イスラム系もミックスで、文化的にもイタリアにはチキショーみたいな汚い言葉がいっぱいあります。 北の方の人は、「南なんて行くもんじゃないよ」って言いますし。北の方は山が近いんで、寒くて暗い感じで 南の方に行けば、北海道と沖縄じゃないですけど、同じ時間なんですけど時間の流れ方が違うというか、そういうのはありますね。季節になれば海に行って女性もみんな肌を焼きます、みんなバカンスのために働いているんで。

國澤:ナポリは赤サンゴが非常に有名なので、50年前くらいから日本にサンゴを売りに来たナポリ人がいるんじゃないかな。その後にピザの人・洋服の人とかですね。 ジローラモは多分元々は建築方面の人じゃないですかね。イタリア人は今日本に多いですよ。 

ファッション関係で日本に良く来ているのはコスタぐらいですよね。

國澤:そうですね。サルトのナポリジャンは日本だけでなく、世界中に多いですね。

コスタがイギリスではなく、ナポリのスーツが優れていると思うのはどのような点ですか。

コスタ:昔はナポリはイギリスの下請けをやっていたけど、ナポリ人にとってイギリスの洋服というのは堅くて重い、 そんな中でナポリ人が感じていたのは、 ナポリ人の特徴というか「自分達だったらこういう仕立てにする」という発想で、 イギリスの暑い洋服の中身を抜いていってナポリ仕立てが生まれたんだ。

コスタ:やっぱりそういうことではナポリが一番。日々ナポリ仕立てというのは進化している。それがナポリ人のキャラクターというか、クラシックな伝統を守り、更に進化させるそういうのがイギリス人より上手かったんだと思う。 

コスタ:ナポリは文化が生まれる所でアートもそうだし。文化の中心だったので職人気質でアーティスティックなことがナポリ人は長けている。

共通点が多いナポリ人と日本人

よくコスタは自分のことをイタリア人ではなくて“ナポリ人”だと言ってますよね。ナポリ人のコスタからは日本や日本のファッション、日本料理はどう映ってるいるですか。

コスタ:20年前に来たときは制服のような感じで多分スーツを着ていた。だけど、雑誌とかの影響もあって、今ではサルトリアのこともお客様なりに解って選ぶように変わっていったと思う。

コスタ:若い方は分からないかもしれないけど日本人のベースとしては、 着物や刀の文化もあるので、職人のことも理解されている人が多い。それがスーツか着物かという違いだけ。ナポリ人と日本人の共通の理解はやっぱり多いよ。

コスタ:ロシア人は「今、世界で一番いい洋服はナポリ人の服だ」 と言って、本当に良いか悪いかは別として、ナポリの洋服は良いんだって事で買ってるだけ。25 年前くらい前にアメリカに行ってスーツを納品したことがあるけど、アメリカ人がステッチを見て「これステッチのミスじゃないか」とか 「どうして手でやるんだ。マシンでやってくれ」 と。向こうの人としては手でやるのは貧しい仕事とかそういう風に捉えてしまっているので、アメリカでは難しかったね。

左から國澤敏志(ESSECI) ・コスタンティーノプンツォ(COSTANTINO)・島田晋輔(KIGO)・アントニオメルクーリオ(Mercurio)

日本人とナポリ人の違い

コスタ:逆に日本は手仕事の良さを分かってくれる方が多い。日本人は靴・洋服をヨーロッパで勉強している方がいっぱいいて、手の器用さで言えばナポリ人より確実に上なんだけど、想像力がない。

コスタ:日本人は教えられたことに関してそれを的確にやるという能力が非常にすばらしくて、職人さんも洋服をキレイに作れる人はいるけど想像力がないというか、日本人とナポリ人の違いだね。

想像力が足りない...では、日本人はどうしたらもっと良くなると思いますか 。

コスタ:日本人の特性、 ナポリ人の特性があって、それぞれ良さはあると思う。日本人の器用さで的確にやるというのはナポリ人にはできない、それは日本人の良さなんで。日本人にはナポリ仕立てを作るのはムリだろう。 

コスタ:日本人はまっすぐキレイに並べといえば並ぶけどナポリ人はそれができない。ナポリ人は右に行っちゃう人も左に行っちゃう人も前に出る人もいる。それをどうするということじゃなくてナポリ人にはそれができないんだ。 

日本人にもナポリ人のように脱線して生きる人もいますがどうしたら良いと思いますか。

コスタ:昔の日本人というのは(キレイに並べない)ナポリ人の考え方を解らないと思うけど、 若い世代の人はアメリカ・ヨーロッパの文化に前向きに触れていくことで、(キレイに並ばなくても良い)想像力も豊かになっていく。そうすれば世界で戦える日本人は出てくると思うね。 

Information

COSTANTINO_PUNZO

Costantino Punzo(コスタンティーノ プンツォ):1967年生まれ。ピサ大学で数学を専攻した後、ロンドンハウスに勤務。名サルト/フェリーチェ・ヴィゾーネ氏に出会い、以後パートナー、フィッターになる。現在は自らの名を冠した「COSTANTINO」のフィッターとして世界中を飛び回り、年数回の受注会の際に来日。サッカー選手や多数の著名人のスミズーラ(フルオーダー)を手掛ける。

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