Talent No.25
REPREP
Reptile Lovers
- #自然を模倣する
- December 30th, 2025
profile
レプレプ。本名木谷厚士。爬虫類愛好家。石川県金沢市在住。幼少期から生き物や植物に親しみ、社会人となってから本格的に爬虫類飼育を開始。原種のヒョウモントカゲモドキをはじめ、自然環境の模倣を軸に仮説と検証を重ねる独自のスタイルで、25年以上にわたり生き物と向き合ってきた。自己流に固執せず、真似と組み合わせを重ねる姿勢は、飼育を超えた一つの生き方・美意識として説得力を持つ。
レプレプ誕生秘話
レプレプさんといえば、もう爬虫類業界のレジェンドですよね。
まぁ、一般枠ですからね。工場の夜勤でも働いています。夜勤が終わってから生き物の世話がしたいのと、電気代も安いので意図的に昼夜逆転の生活をしてます。飼育環境をつくるために、タイマーをつかって夕方5時くらいに点灯して、朝6時に消灯っていう照明設定をしています。
一般枠(笑)爬虫類のキャリアはだいぶ長いですよね。「レプレプ」という屋号を名乗ったのはいつぐらいからなんですか。
最初に業(動物取扱業)の申請をしたのはもう15年近く前ですね。
業をとる前からずっと生き物は好きだったんですか。
そうですね。子供のころに、『わくわく動物ランド』っていう動物番組があって、カメレオンが紹介されているのを見て「カメレオン好きや」って思いました。当時は図鑑で見る位でしたが、就職してからお店で売ってるのを見て、「飼育すること出来るんや」と知り、初めてお金を出して買ったのがパンサーカメレオンでした。でも当時は飼育方法の情報も知識も何もなく、上手く育てられずにすぐ死んじゃいました。
どんな生き物もそうですがカメレオンは特に難易度高いですよね。今以上に情報もなかったらなおさらです。ところで、「レプレプ」の屋号の由来はどんな背景があるんですか。
レプタイルの“レプ”を繰り返してるだけやけど、HUNTER×HUNTER からも来てます。意味を説明するための名前じゃなくて、音とリズムを優先してます。日本人って、PayPayとか繰り返し言葉が好きですよね。世界的に見ると意味分からんけど、日本ではめっちゃ定着すると思っていて音の響きがいいとか、覚えやすいとか、そういうのが一番効率的に広まるんやと思います。
PayPayも、最初は違う名前だったけど、言った時の気持ちよさとか、分かりやすさで今の名前に変えたって聞いたことあります。支払いって一瞬の行為だから、パッと口に出せて、パッと伝わる名前が強い。
PayPayの話を聞いて、俺の選択は少なくとも間違っていなかったと思う。割とめっちゃ考えている。だから知り合いにもつまらないほど計算しているなとよく言われるんです。
真夜中にカブトムシを追いかけた少年時代
小さい頃はどんな少年だったんですか。
生まれも育ちも金沢で小さい頃は、家の周りで、日本のトカゲやヘビ、カメを捕まえて飼っていました。植物や昆虫も好きでした。
虫も飼っていたんですか?
小学4年生の時に、14インチくらいの小さいチャリンコで、親に何も言わず夜に家から抜け出してカブトムシを捕まえに行きました。富山の高岡まで行って帰ってきたのは朝8時位でした。往復で100キロ近く走りましたね。
すごいですね。一人で高岡を目指して行ったんですか?
はい。途中、「高岡」という文字が見えたのを覚えています。途中にトンネルが3つあって、夜中は真っ暗でした。今考えたら、よくあんな危ないところ通ったなって思います。
僕も小さい頃生き物好きで、カブトムシ捕まえに行ってましたけど、友達や兄弟とでした。レプレプさんは一人で?
はい。大体、何をするにしても一人ですね。
レプレプさんっぽいですね。小さい頃から内省的というか「なぜなんだろう」みたいな原点思考は持っていたんですか。
小学校の遠足で、海に行ってみんなで貝を探している時、ハマナスの根っこが気になって。こんな砂地で、どうやって生きとるんやろうって思ったんです。それでずっと遠足の時間、根っこを掘っていました。元々友達も全然おらんのやけど、誰とも喋ることもなく、ひたすら根っこを掘って一日が終わりました。今思えば、だいぶヤバい子ですね。
些細なことも気になって、問いを持つ姿勢は今と変わらないですね。
多分、気になって見てみたくなったんでしょうね。
青春時代から愛好家になるまで
ご両親は、レプレプさんのことをどう見てたんですか?
小学生も中学生も、高校の途中までは学力が異常に低かったんですよ。勉強しようって意思が全くなかったです。
そうなんですね。でも仮説の立て方とか検証の仕方とかも、高学歴の優秀な人の印象を受けます。
多分大人になってから想像する機会が増えたからかなと思います。基礎は全く何も入っとらん状態で大人になってます。
興味深いですね。勉強以外で何かスポーツはやってたんですか?
一応、中学は部活に入ったけど揉め事が多くて、試合に出れず、ほとんどやってないようなものです。
部活などもやらず。何か打ち込むものが他にあったのでしょうか。その頃は生き物を飼ってましたか。
クワガタやカブトムシを捕まえたり近くの川でカメを獲ったりしてました。当時はイシガメとクサガメばっかりで、ミドリガメって全然川にいなかったんです。ある日、川でミドリガメ捕まえた時は「ミドリガメがおったー!」って興奮してました。
僕も似たような少年時代でした。高校は地元の高校に進学されたのでしょうか。
地元石川県で一番学力の低い工業高校に行きました。高校時代は、音楽も好きでバンドしたりバイクに乗ったりしてましたね。通っていた高校は、爬虫類研究家の大谷勉先生と一緒だったんです。大谷先生は、いつも墓参りで金沢に来るんやけど、大人になってから同じ高校であることを知りました。全然年も何も被らんけど、まさかあの先生が、あんなに頭悪い高校だったんやとびっくりしました。
凄い繋がりですね。
運だけは持っているというか、爬虫類の業界の人達の中で大谷勉先生と高校が一緒だったのは多分俺だけやとおもいます。
金沢近辺ではそういう爬虫類や生き物の仲間はいなかったんですか?
SNSもない時代だったので全然いなかったです。ずっと一人でやってましたね。
繁殖とかもしていましたか。
カブトムシが自然に殖えたことはあるけど、繁殖しようと思って繁殖したことはないですね。
高校を卒業後、どういう人生だったのでしょうか。
会社に就職して、二十数年同じところで今も働いてます。
同じところで長く続けられるって、すごいですね。長くやることが、苦じゃないんですね。
原種に魅せられて
社会人になってからパンサーカメレオンを飼ったとのことでしたが、植物もお好きだったのですよね。
植物は、レリアというカトレアの仲間が好きでした。当時は温度管理する施設がなかったからすぐに枯れちゃいました。
そのレリアも原種の美しさに惹かれたって言ってましたよね。
そうですね。
その翌年の1999年に飼ったのが、今いる種の親になるヒョウモントカゲモドキです。25年以上生きてますね。
レプレプさんが原種に惹かれるということや、「あえて言います、ヒョウモントカゲモドキ」という言葉から、原点回帰ーこの辺に何か惹きつけられるものがあるんですかね。
オリジナルの美しさみたいなのが好きですね。ノーマルの状態で表現の美しさがあるものに興味が惹かれるんです。モルフも美しいしレリアにしても、交配種でめっちゃ花でかくて綺麗やなと思います。でもやっぱりノーマルの状態の美しさが個人的には好きなんですよね。
オリジナルの美しさですね。繁殖はこの頃からでしょうか。
25年前にヒョウモントカゲモドキを繁殖したのが爬虫類の繁殖は初めてですね。
当時、繁殖させたい気持ちはあったんですか?
ペアで飼ってたら、殖えたっていう感じです。でも最初は繁殖させようという意識があってやったわけではないですね。
最初は好きで飼育して、殖えていったんですね。先ほど見せてもらいましたけど、繁殖ノートや飼育ノートでは、何らかのテーマを持ってやってますよね。
気になると思ったものは、結果を見たくなるからやっている部分が多いです。2008年からは、体重と体調をざっくり記録していて、何年経ったかも把握できるようにしてます。
普通に好きで飼っているのもあるけど、気になるものを追求したいという想いを感じますね。その後の生き物との出会いや広がりはどういう風に進んでいくんですか?
最初の5年は、ヒョウモントカゲモドキとヤモリだけの期間が、割と長かったです。その後に初めてジョニーサンドボアというヘビのメスを飼いました。やっぱり、ヒョウモントカゲモドキを殖やした経験があるから、ヘビも殖やしてみたくなるんですよね。オスを、車庫に置いていたら冷やしすぎてしまい死んでしまいました。でも、メスは生きとったんです。1年後か2年後かにまたオスを見つけて、やっとペアが揃ったところから、7年くらいで繁殖しました。
7年もかかったんですね。
そういう種類だったっての知らないから、こんな時間かかるんやと思いました。
繁殖といえば、ビルマホシガメの繁殖にも成功されていますよね。
こちらが卵で冷却してます。センサーでログも取ってて、ハッチまでの温度変化を全部記録してます。
有精卵と無精卵って見た目で違います?
違います。無精卵は赤っぽかったり、質感が違います。
このデータを全部とっていけば、性決定の条件もー分かりそうですね。
波形(温度の変化)を全部見て、オスメスの比率のズレを追えば、決まるタイミングや温度条件が特定できるかもしれないです。ヒョウモントカゲモドキは性決定のタイミングが何日目か学術的にもう分かってるんです。工業的にやるなら、ある期間だけ温度を合わせて上げれば最短で孵化できます。でも、ビルマホシガメの性判別は難しくて、生まれてから見分けるまでに3年くらいはかかります。ちなみに自然界だとメスが多いです。
自然界だとメスが多いのに、飼育下だとあまりメスが出ないのは不思議ですよね。温度管理が一定すぎるとか、季節の変化とか、色々な環境要因があるんでしょうね。
そうですね。飼育環境づくりには、この洋書がバイブルなんです。昔はデータが少なかったから、みんなこの本を見てやってました。ただ俺は、英語が読めないから数字だけ見て勘違いして失敗したこともありました。「32度でメスが出ると理解したけど、実は「32度を超えると卵が死ぬ」って書いてあったんです。生き残った1匹だけ、その個体は模様が極端に細くて黒っぽかったです。温度の影響か分からんけど「32度は危険」っていうのは体感で分かりました。
すごい実験ですよね。しっかりと洋書で勉強もされて、実際に仮説して検証してみる。その探求の姿勢も見習いたいです。この本、今は手に入らないんですか?
昔から飼育をやってる人は大体持ってて、当時は2,000円くらいだったのに、今は6,000円くらいに値上がりしてます。例えば生息地のミャンマーの現地の気温を見ると、日中は34〜36度で、山岳で夜は冷えます。土中温度がどうなるかが分かれば、自然下でメスが出る条件も推定できるかもしれないと思ったんです。
仮説と検証を繰り返す
ちなみにビルホシカメの産卵場所って決まってるんですか?
大体決まってます。あの木の根元あたりとか、個体ごとにお気に入りの場所ってありますよね。最初は、掘りやすいように土だけの場所を用意したんです。でも全然産まなくて、なんでかなと思ったら、木の根が下まで張ってて、根がパンパンになっている場所に産んでました。
根がある場所のほうが安全、、、生き物としてわかってて産卵していますよね。うちのクレスも植物の根の深くに産卵していて自然ハッチしたこともあります。
土だけの場所って、雨が降ったら流されるじゃないですか。でも根が張ってると土が守られる。自然下でも、流されない場所を本能的に知ってるんだと思う。だから、掘りやすさとか人間の都合で作った場所には産まないですね。
完全に野生の本能ですね。
種類によっても違いそうだけど経験的にはそうですね。後ろ足の爪の長さでオスメスも推測が出来ます。
こういう情報、飼ってる人は知ってるんですか?
繁殖してる人は大体知ってます。見たらすぐ分かる。でも、ネットではあんまり言われないかもしれません。
そこがレプレプさんらしいですね。その感覚的にやってるというよりかは先人たちの知恵というかデータも活かしつつ、それも鵜呑みにせずに仮説を立てて、本当にそうなのかってやっていくスタイル。
それが楽しいですね。自分なりの疑問と仮説が、実際にどうなんか、試して、失敗する時もあるし上手くいく時もあるけど、結果わかった時が一番興奮する面白い時間なんですね。
いつからこのレプレプさんのスタイルは確立されたのでしょうか。
継続的な繁殖の結果が出てきてからですね。継続的に繁殖できる飼育って、割と上手く飼育できとる可能性が高いと思います。継続的にするにはやっぱ親もちゃんと立ち上げてかないといけないし、繰り返し毎年やっていけるんだったら飼育例の一例としては悪くはない環境がつくれているのかなと思います。
ヒョウモントカゲモドキも25年くらい飼育してますし、今年も実際に繁殖に成功しているという事が驚きです。
結果としては、悪くない飼育例の一つやとは思います。生き物の飼育って、この数学みたいに答え一つじゃないから。正解がいっぱいある中で、自分にむいた正解の飼育をみんなが選べばいいと俺は思います。いろんな正解の人の真似をするからデータもらって、その正解を、かいつまんでまたマッシュアップしていったら、他の種類に応用できることが出てくるかなとは思います。
自然を模倣する
やっぱりレプレプさんは勉強熱心ですよね。元々小中高とあんまり勉強好きではなかったという話でしたけど、好きな生き物のことは勉強されるんですか?
生息地の環境とかはやっぱり真似するのが一番早いから、洋書のデータとか、生息地を調べたりしてます。自己流は、多分上手くいくタイプの人間じゃないから、自分の真似できる範囲の真似を組み合わせていくようにした結果、ほとんど全部、模倣だと思いました。
興味深いです。レプレプさんはキャリアも長いので自己流でいろいろ試してきてるという印象も強そうですが。
自己流というのは、なんかの真似か、真似じゃなくても、組み合わせだと思っています。音楽だと、歌詞はこれでメロディはこれっていうマッシュアップをしますが、飼育にもあると思ってます。この肌の質感、この頭のデカさやったら食うもんはこれとか、ある種の仮説みたいなのを立てて、そのマッシュアップに対して導き出された自分なりの飼育をしとるのかもしれませんね。ゼロイチで作るっていうよりも、マッシュアップ的に、いろんなとこから合わせて仮説を持ってやってます。
結局、芸術とは自然の模倣であるという言葉と一緒で、飼育は自然の模倣なわけです。飼育環境を人工的に作り出すには、自然をどこまで模倣するかです。
めちゃくちゃ面白いですね。人からの話を聴いて活かすことも多いのですか。
本を読むのも、割と好きな方です。それ以上に、人の話を聴くのが好きなんですよね。誰かに話す時も、できるだけ相手の話を引き出そうとしていると思います。ユダヤ教の聖書にあたる『ゾハルの書』に、好きな一節があります。
「人には目と耳は二つあるけど、口は一つしかない」という言葉です。インプットするための器官は二つ、アウトプットするための器官は一つ。つまり、人に伝えることよりも、まず自分に取り入れることの方が大切だ、という考え方ですね。もちろん、全部読んだわけではありません。でも、自分の考えをマッシュアップさせるには、十分すぎる言葉でした。
体験から得られる情報に価値がある
環境づくりも含め、データのとり方や情報の活かし方も含め、職人芸のようです。
学術的なデータでだけで判断するタイプじゃなく、経験からくる感覚的な部分が多いです。学術誌の記事を書くこともあるけど、生態の観察とか定性的な部分が占めるウェイトも大きいです。定量的だけにこだわりすぎると、定性的なとこからしか見えない部分を見落とすことって少なからずあると思ってます。本当は良くないけど定性的な書き方することが多いです。
先ほど飼育部屋でも言われてましたけど、オス同士を一緒にすることはNGという一般論を疑って、実際に試してみる。そもそも分母がどれぐらいあるのかわからない事が一般論になっていたりもするし、そこに疑問を持って検証してみるというのもすごいですよね。
実際にやってみないとわからんことが多いですからね。
これって本当、生き物の飼育に限らず全てに当てはまる気がしますね。哲学的な姿勢というか。
SNSとかネットで言われてるから正しいと思ってね、鵜呑みにしても、そのデータって分母本当どうなのっていうところに疑問を持つべきですよね。表に出てこない、プロテクトされた情報もあります。
暗黙のプロテクト情報がちゃんと今も存在するのが業界の闇というか、ミステリアスなところでもありますよね。
つい情報を言ってしまいたくなる人もおるやろうけど、暗黙のルールはあります。商業的な都合も、もちろんあります。
情報はあんまり出したくないっていう人がいる中、レプレプさんは日本初の繁殖のことや希少な検証なんかも、いつか途絶えてしまうからと、コミュニティを活用しながら、日本全体で盛り上げていこうとしていますよね。
俺は割と大体何でも出す方です。昔は「日本初繁殖」って称号が嬉しかったけど、今はそれだけじゃ意味がないと思ってます。1人で維持して途絶えたらダサいし、維持するには、分散して飼育できるコミュニティが必要だから、SNSはそのために役に立つと思ってます。
あとは、日本だから見れる爬虫類の種って割といます。実際に途絶えてしまった種もいる中で、海外と比べても全然引けはとってないと感じますね。本を書く時は、情報の8割は書くけど残り2割はその人の理解度を確認しながらじゃないと伝わらない内容はあると思ってます。
その姿勢は生き物との向き合い方にも通ずるものがあります。決まりきった答えを出すというよりは、人間味があるところは、レプレプさんの魅力の一つだと思います。業界から風当たりが強いのは、しっかりしたポリシーをもって、こだわってやってるからなんですかね。
多分、人間性の問題もありますね。コミュニティは必要やけど、小学校の頃から単独でしか動けないタイプの人間やったから、そういうのに属してうまくやるのが難しいんですよね。
迷うから見える景色を楽しむ
生き物以外ではどういったところに情熱があるんですか?
吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。
趣味はバイクに乗ることです。とにかくバイクは一人で乗って一人でどこでも行けるから、それが一番いいんですよ。
幼少期に自転車で高岡まで行ったっていうエピソードからも、そういった自由を好む人生なんでしょうかね。
フラフラするのは好きですね。今年もバイクで、東京は3回ぐらい行っとるし、神戸、大阪も仕事関係なく、ラーメンを食べに行くだけの時もあります。
バイクの良さは、ナビをつけてないから、交差点の名前や道を覚えるんですよね。車で行っても、ナビで「右折してください」と聞いて曲がるだけで、同じところを通ってもそこの景色は覚えてないんですよね。車って便利で、最短で目的地に迷わんと行けます。一方バイクはもちろん迷うけど、迷っても、迷った道の景色を覚えとるんすよ。バイクは最短じゃないけど、イレギュラーな発見の寄り道ができるから、それが楽しいんです。
これって本当、生き物の飼育にも通じる感じですね。発見したりとか、寄り道したりとかっていう。最短以外の楽しみ方ですね。今、テクノロジーの進歩でAIが導入されてきてるじゃないですか。アナログと真反対のテクノロジー。レプレプさんはどう捉えてるんですか。
もちろん便利やろうなとは思います。写真も文章もすごく上手に作ってくれますね。俺、学術誌のクリーパー(爬虫類雑誌)を書く時、わざと訛りのまんま書いたりしますけど、AIで書いた文章も見事になまってますね。
まさに原点を大切にする姿勢。あえて訛りを残したりして人間らしさの手触り感や虚いを大切にしているのもレプレプさんらしさですね。
不完の美しさ
前に、中古の家を買った時に、天井板とか床も全部自分で張って、でもコンセントのカバーをつけてなかったんです。換気扇工事頼んだ時、業者の人が気を使って、「カバーついてなかったんで、サービスでつけときました」って言われたんです。完成しちゃったと思いました。あえて不完の美としてそのままにしておいたって言おうと思ったけど、通じないだろうなと思ってやめておきました。
「不完の美」はレプレプさんの美意識をよく表現していると感じます。飼育やバイク、人生観、色々なところに感じられますね。
共通した部分はあるかもしれませんね。これからAIとか色々なテクノロジーも進歩してきますけど、生き物とか自然から学ばせてもらうことってすごく大きいですよね。
やり残して死ぬという生き方
レプレプさんにとって生き物や植物っていうのはどういう存在なんですか?
深く考えてないんですよ。なんか最終的にこうなりたいとか、ああしたいとかっていう目標を持って生きとる訳ではないです。不完の美もそうやけど、とにかく死ぬ時に「あ、人生やりきった」って思いたくないんですよ。
やりきったと思いたくないとは?
「あ、今でもうやり残したことはない」っていう風に思って死にたくない。死ぬ間際でも「まだあれもやりたい」と思えるくらい、やりたいことが残っとるくらいの人間でずっとおりたいって思ってます。「とにかくやりきった」って思えるようなことがないように、ずっと次のやりたいこと見つけれたらいいなっていうのがスタンスです。次もまた、「あ、まだやり残したことばっかや」って言って死んでいくのが目標ですね。
生き物や植物との向き合い方もそうですし、レプレプさんの美意識、死生観もはっきりしてますよね。レプレプさんにとっては実家がお寺だった影響もあるんですか。
うちは、両親ともお寺だから死生観に関しては、そういう影響があるのかもしれませんね。
納得します。素敵ですね。
やり遂げたって思ったら、ある意味、次のやりたいことも見つからんかったっていうことだと思います。終わった瞬間、「まだあれやりたい」「次これ終わったらあれをしよう」というのが見つかってない状態にはなりたくないです。ひとつのことをずっと突き詰めてやり遂げたって思うのも、それはそれですごいいいことだと思うけど、今やっとること終わったら次のやりたいこと見つけたいなと思います。
真似の先に辿り着く自己流
生き物を飼ってる人もそうでない人も、レプレプさんの話に色々なヒントや気づきもあったと思います。最後にみんなへのメッセージを頂けますか。
俺ってとにかく普通のただの愛好家で、プロでもないし専門職でもないんですよね。一般人なんですよね。一般人でもなんか好きなことを続けていると、「好きこそ物の上手なれ」じゃないけど、なんか珍しいことやっているように見えます。だから、個性を出すために「自分のやり方みつけなきゃ」みたいな人もおると思うけど、完全にそれは捨てています。
無理やり自分らしさみたいな、他の人と違うものを探す必要ってないんだろうなって考えです。真似してったら、ある意味いろんなマッシュアップがされて自分になっていくと思っています。だから、無理に自己流でやる必要ないかなと。真似した結果がマッシュアップっていう自己流になるんやとしたら、そういうのってプレッシャーに感じる必要ないなって俺は思ってます。だいぶ気楽、気楽な人生ですね。
面白いですよね。それでいて、レプレプさんはオリジナリティ溢れるというか、個性的に見えますよね。
そういう風に見えるとしたら、きっとそれがマッシュアップなんやろうなって感じます。色々なことをもっと気楽に真似するといいんじゃないかなと思いますね。
Information
REPREP
レプレプ。本名木谷厚士。爬虫類愛好家。石川県金沢市在住。幼少期から生き物や植物に親しみ、社会人となってから本格的に爬虫類飼育を開始。原種のヒョウモントカゲモドキをはじめ、自然環境の模倣を軸に仮説と検証を重ねる独自のスタイルで、25年以上にわたり生き物と向き合ってきた。自己流に固執せず、真似と組み合わせを重ねる姿勢は、飼育を超えた一つの生き方・美意識として説得力を持つ。